超電導物性・NMR分光グループ

研究背景

■ 「超伝導」とは何か?

一部の金属やセラミックスなどでは、それらの物質を低温まで冷やしていったとき、 ある温度(超伝導転移温度 Tc)を境に、その温度以下で (1)電気抵抗ゼロ (2)マイスナー効果 などの驚くべき現象が起こります。 これらの性質を示す物質の状態を「超伝導」状態といいます。

電気抵抗がゼロとは...

これは読んで字の如く、電気抵抗が無くなることです。 普通は電流のあるところには 必ず抵抗が存在します。それは物質中を流れる電気の流れ(電子の運動)が、物質を構成 する原子(イオン)の熱振動や結晶の欠陥などにより乱されるためです。 このため超伝導体で円形のリングをつくり、そこに電流を流してやると、その電流は 減衰することなく永遠に流れつづけることができます(永久電流)。 これを利用した 超伝導マグネットが実用化されており、また、電力貯蔵などへの応用も考えられています。


■ マイスナー効果とは...

皆さんは、どこかで超伝導体の上に磁石が浮いている写真や映像を見たことがあるでしょうか?  あの現象がマイスナー効果です。 超伝導状態にある物質は、その物質内に磁束の侵入を許しません。

磁束というのは、皆さん磁石を砂鉄の中に置いたときに磁石のN極とS極とを結んだ曲線状に きれいに砂鉄の模様が出来るのを見たことがあるでしょう。あれが磁力線で、 磁束とはその磁力線が集まったものです。

つまり、超伝導状態の物質の上に磁石を置くと、磁石からは磁力線が出ていますが、その下にある 物質は超伝導状態であるために、その磁力線を通しません。これによって、磁石から出た磁束(磁力線)はその下にある超伝導状態の物質を押し下げようとする磁気的な圧力(反発力)を生み出します。 これにより、上にある磁石が浮上するというわけです。

他にも...

上記の2つの性質の他にも、ジョセフソン効果などの、超伝導状態に特有の重要な性質もあり、 これを利用した SQUID(物理研究分野で使われる)などがすでに実用化されています。

これらの性質を理解するには、量子力学などの高校以上の知識が必要なので、ぜひ大学に 入ってから勉強してください。